neutron Gallery - 足田メロウ+ 豊原エス 展 『 歌いながら生きていく 』 - 
2003/4/21Mon - 27Sun 京都新京極 neutron 5F gallery

2002年9月に5階で開催された二人展『空を見上げる』が青幻舎の目に止ま り、なんと作品集の出版が決定!エモーショナルで優しさが溢れることばと絵画の最 強タッグ!!絶対に見逃せない展示。そして、もちろん作品集も販売。マストです。





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gallery neutron 代表 石橋圭吾

  二人は年令も、経歴も、そして京都及び関西のシーンにおけるスタンスも似ている。拠り所を否定するわけでは無いが、頼ら ない。自分のスタイルが確立されつつ今でも、お互いは最高のパートナーであり、またライバルでもある。決して互いに妥協することなく、個々の活動を経て、 その経験をフィードバックする。特に最近多く現れている「ことば」とビジュアルイメージの組み合わせ的な作家たちの中でも、二人の存在感と説得力は突出し ている。それはやはり、自分のスタイルにこだわり続け、大きなものにも決して巻かれることを良しとしない精神が生み出した、まさしく「孤高の」プライドか ら来ているとも言える。(余談だが私も年令、経歴など類似点が多く共感できる部分が多い)
  しかしそれは他者を寄せつけない作品を生み出すよりもむしろ、世代を超えて圧倒的な支持を得ることのできる程、視野が広 い。なぜなら彼らは「観者」あるいは「観客」あってこその活動を基盤にしており、なおかつ「本」という商品を作り続けている限り、決して周囲の批評を無視 することはできないからである。ここが、自己満足と慢心に陥りやすい世界において彼らが際立っている点とも言える。二人とも人に「喜んで」「楽しんで」 「感じて」もらうことが大好きなのである。しかしそれは、無用のサービス精神とは全く趣旨を違える。
  本展は出版される本の記念展でもあるのだが、実はその意味は単なる原画展のようなものとは全く違う。二人が各々の机に向 かって創り出した言葉と絵が本の中で一つになるわけであるが、本展ではその言葉と絵の「出会い」に立ち返り、観者のそれぞれの視点でそれぞれの作品の組み 合わせ、レイアウト等を考えながら、感じながら見て欲しいとのこと。本に採用された組み合わせはそのままに展示する一方、採用されなかった作品たち、ある いはいい「出会い」が無かった作品たちも、今回は登場する。それらがむしろ、この展示の見どころになるのかもしれない。それらは緩い意識で繋がっており、 見るものが自由に想像力を働かせて各自の「出会い」「組み合わせ」を感じることができる。 間違い無く、この本は「売れる」であろう。しかしそれは「消費」されるタイプ では無い。豊原の詩も、足田の絵も、良薬にも毒薬にもなり得る力を秘め、このチャンスを窺っていたのだから。「言葉から生まれる絵」、「絵から生まれる言 葉」・・・コンセプトは見るものの前では説明不要だろう。とくとご覧あれ!