「都市の印象」をテーマに現代美術とクラシックアートの融合を目指すヤマガミ。巨大なペインティングに今回は映像を投影させ、同一平面上に移り行く空気とたちこめる気配を込める。 詩的な都市の幻影・・・。
作品について
1999年の終わり頃から、「都市の印象」というテーマで都会の風景や都市を構成する看板やネオンサイン、陳列棚等をPaintingと写真の融合によって作品化してきました。今回(今後)の作品も「都会」の風景を作品化しているので「都市の印象」シリーズと似ているかも知れませんが、以前はやはり「都会」というモチーフ自体にとらわれすぎていたと思います。作品中央に消失点を決めて透視図法(完全な透視図法ではありませんが)によって油彩で描く風景の上に、スライドプロジェクターによって写真を投影する方法論は今回も同じですが、現在の作品「Noises , Crowds And SilentAirs」(騒音と雑踏と静寂)はもっと古典的な風景画として見せたいのです。そのためタイトルも以前より詩的になったと思います。
私自身ものすごくContemporary Artに惹かれます。しかし同時にClassic Artにも魅力を感じるのです。Contemporary ArtにClassicという新しいジャンルを創りたいと考えています。それは大変な作業なのかも知れません。しかしそれほど私の中には古典への強い憧れがあるのです。
今回のneutronでの個展には作品2点のみの展示にしようと思っています。作品は両方とも絵画+映像の見せ方をします。スライド(映像)を投影するのは、主観的なイメージと客観的なドキュメンテーション(全てカメラ越しの風景なので)の両方をある程度の距離を置いて且つ、同一平面上で融合し絵画(平面)の新しい魅力・表現力を引き出したいと考えています。「写真/映像との融合」によって絵画にしかできない表現と、写真/映像にしかできない表現を同一平面上で合成させています。
都市の印象 , 作品解説
「都市の印象」は、1999年暮れより2002年中頃まで続けていたテーマで都会の「におい」を表現したものです。「におい」を表現するには、写真の持っている特徴だけでも、絵画の持っている特徴だけでも表現しきれなかったので、絵画(心象)と写真(映像)を同一次元で組み合わせればイメージとしての「におい」が表現できるのではないか?という考えから、タブローの上にスライドプロジェクターで写真を組み合わせて制作をしていました。これは、現在も変わっていません。技法的にはインスタレーション的な技法かも知れませんが、私自身は、「とても絵画的」だと考えています。あたかもその場所にいる、と言うような空間を演出する「平面(絵画)」を制作したいのです。空間の演出という点では、インスタレーション的かもしれませんが・・・。
小品については空間演出よりも都会の中における、現代都市の(日本においてのみかも知れませんが)象徴的な「かけら」をより「絵画的」に(ポップやキッチュとしてではなく)制作していました。マクドナルドや、コンビニエンスストアーなどをモチーフに「絵画作品」を発表しました。
2001年に発表した主な作品はスライドプロジェクションによる作品です。今回の作品の雰囲気もだいたいこの様な感じですが、もっと絵画的というか、静かな感じにしたいと考えています。当然プロジェクションをするわけですから、展示空間は照明を落とします。真っ暗ということはないですが、薄暗い中に作品があるといった印象になると思います。