neutron Gallery - HYE(山木絵理子・原泰英)展 『擬態』- 
2003/10/27Mon - 11/2Sun 京都新京極 neutron 5F gallery

映像の山木絵理子と特殊メイクの原泰英による 「HYE」が今年もハロウィンに登場。今年は「白」を基調に、その奥に潜むものの存 在や空虚さをインスタレーションなどで表現。




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gallery neutron 代表 石橋圭吾

  HYEとは、映像・造形・インスタレーションを行う山木絵理子と、特殊メイクを行う原泰英との二人によるユニットである。二人は昨年の11月(ハロウィーンの時期を意識して)に今回と同じくニュートロンの5階ギャラリー、及びカフェ空間においてインスタレーションやオブジェの設置、さらには「傷口」を施す特種メイクの実演まで行い、話題を呼んだ。今回の企画は、またもやハロウィーンに、前回とは趣を変えた「怖さ」を表現しようとするものである。  

  前回の「傷口(血)」やおどろおどろしい立体物などは、一見して「恐さ」を演出し、そこに山木の制作したクレイキャラクター達がユーモアを発揮していたのだが、今回はそのような多岐に渡る演出は無く、ギャラリー空間における「展示」のみとなる(予定)。そして、「恐さ」も質を変え、「じわーっと」迫ってくる無気味な感覚、あるいは違和感による後味によって表現しようとする。  ゴムで形成された「蝶」のモチーフが平面から浮き出たように羽ばたき、密集するのだが色彩は白に統一されている。「白」は時として恐怖や不安、漠然とした間(ま)を表して我々を混乱させる。その画面上に、一羽なら「綺麗」と言われるであろう蝶達が大小様々に蠢いている。そこに存在するのは視覚的な印象と、「蝶」そのものによる我々の記憶や生物の「生き物」としてのグロテスクさである。いや、純粋にこれを「綺麗」あるいは「かわいい」と捉えることもできよう。その解釈や感じ方は様々であった方が面白い。

  少なからず、前回よりも数段に計算され、「作品性」を持たせた今回の発表は、各々の活動において活かされ、あるいは「HYE」としての今後において少なからず転機となるかもしれない。