neutron Gallery - 平澤直治 展 『日本國』 - 
2004/4/26Mom - 2Sun 京都新京極 neutron 5F gallery

かつて熱狂した国、そして今私達が目にする日本という国。モノトーンの中に印象 的な朱色を織り交ぜ、この国の風景とアイデンティティーを再確認させる写真展。ゴー ルデンウィークに、ぜひ見て欲しい写真です。





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gallery neutron 代表 石橋圭吾

折しもゴールデンウィークまっただ中。町中には人並みと、仰ぎ見れば至る所に日の丸が架かっていることだろう。 祝日のオンパレードはもちろん私達にとって喜びでもあるのだが、 はたしてそのはためく日の丸を見て、私達は何を想うのだろう。

晴れ渡る空の下、すっきりと輝く白を基調に、太陽のごとく輝く朱色の円。私達の世代にとって、それは物心ついた頃からの「国旗」であり、 オリンピックやワールドカップなど、事有る毎に登場しては 知らずにその旗の掲揚を願うものとして、刷り込まれている。 そしてその赤と白は祝いの象徴としても認知され、日の丸に限らず、その配色は日本人のアイデンティティーを表すかのごとく、私達の日常に頻繁に出没する。その色のもと、その旗のもと、私達のそう遠く無い祖先は、戦争を戦った。

この写真展は、決して戦争を美化するものでも、右翼的思想を賛美するものでも、あるいはそれを排除するものでも、無い。 平澤は全く今に生きる一人の若者として、日の丸を代表とする赤と白を追い、感じながら、その「在るべき」高揚感を見つけられずに居る自分達を嘆きつつ、写真を撮った。 だがこの嘆きは平澤だけのものではない。 私達は与えられたイベントでしか日の丸を見ず、 与えられた感動をそれとして受け止めることにあまりにも慣れてしまっている。 生きるか死ぬかの時代、それが強制であったとしても、この赤と白はどれだけ若者達に勇気を与え、誇りを持たせたことだろう。 そう考えれば、私達は、やはりぼんやりと日々の平穏を確かめながら 形式化した配色を受け止めるしかないのだろうか。 皆さんも一緒に、ほんの束の間、日本という国について思いを馳せてみませんか。