世に数多く存在する「フリーペーパー」を自分達の活動のフォーマットとして構築 し提案するイラストレーター、クリエーター集団「ピテカン」。その発展形としての グループ展が「ピテカン展」である。4人が統一した巨大なフォーマットで見せる、 新しいグループ展の在り方。
gallery neutron 代表 石橋圭吾
ショップやギャラリー、あるいは公共施設などに設置、配付される フリーペーパーという媒体は、今や最もローカルで先端のメディアとして 若者を中心に確固たる地位を築いている。
そこにはイベントの案内や各種情報(広範ではなく専門的、ストリート的なもの) が多分に含まれ、それらがアンテナショップ的な場所を獲得することにより、 しかも無料で入手できるため、浸透度が高くなる。
しかしながら各種DMやフライヤー、フリーペーパーの数たるや おびただしいものが有り、それらを取捨選択する者にしてみれば、 よほど個性的で有意義なものだと感じない限り、置き忘れられたり、 すぐに捨てられてしまうことになる。
そんなこの時代の媒体の特性を知りつつ、なお表現活動のフォーマットとして 最大限に活用しようとするのが、この「ピテカン」であるのだろう。
4組のイラストレーターから成る彼らは、個々の方向性の違いよりも 媒体としての有効性を求め、かつグループとしての利点を認識し、 敢えて「ピテカン」を結成するに至った。
そしてその「ピテカン」の展覧会としての位置付けが、この企画である。
だからこそ彼らに対し私は、単なる「グループ展」で終わらないよう 綿密な計画を立て、コンセプト性を全面に出すよう促した。
今展覧会において彼らは空間を手にし、フリーペーパーの発展形として 有意義なフォーマットを見せてくれることだろう。
それは後に続く者達にとっても、極めて重大で、倣うべき出来事のはずだ。
そしてそのフォーマットの中に、4人の相違点と評価が語られることになろう。