京都はもちろん大阪でも活発に活動し注目を浴びる松本の、意外にもニュートロンでは初の個展。空間を印象的に用いて「松本ブルー」とでも言うべき独特の青色で描く光景は深い森や澄み切った水を連想させ、楽園をイメージさせる。ペイント、ドローイング、刺繍作品を織り交ぜて。
gallery neutron 代表 石橋圭吾
ここ数年でじわじわと実力を伸し人気を高めてきた松本けい子の、 ニュートロンでは初となる個展を開催します。 とは言っても今までに「つくね」との2人展(2002年)、 足田メロウとの2人展(2004年1月)を経験したきた作家なので、 ニュートロンとしても馴染みが深く、待たれていた企画の一つでしょう。
彼女の描き出す風景は深い森の神秘的な情景や、 青き水をたたえる湖畔のようなシーンが数多く見られます。 アクリルや水彩を用いて鮮やかな色彩を発し、 そこにシンプルにペンで描かれる人物や動物との組合せは 画面に奥行きとデザインとしての完成度の高さを与え、 さらにはイマジネーションの可能性を見る者に感じさせます。
「松本ブルー」とでも言うべき独特の青色は、深遠な風景を表すのと同時に 人間の内面性を映し出し、あるいは澄み切った自然の空気をイメージさせます。 画面に「空白」(あるいは「余白」)を作り出すことによって 見る者の距離感や心象としての風景は自在に動きだし、 絵の中に入り込む「スキ」を生み出すことにも繋がっています。
これから先、イラストレーション、絵画、あるいはデザイン分野においても 活躍しそうな予感のする松本けい子。 その作品世界に漂う平和な精神世界は、今の時代に求められるべき 幸せの彩どりをもって広がっているのです・・・。