neutron Gallery - みうらゆうこ 展 - 
2004/7/5Mon - 11Sun 京都新京極 neutron 5F gallery

漫画とイラストの間でゆらゆらと存在する作風は淡々と、それでいて印象的に語りかける。昨年4月に続いて2回目の個展でどのような成長を見せるか。時に「言葉」を交えて、時に時間軸を交錯させる侘びさびの平面。





comment
gallery neutron 代表 石橋圭吾

京都精華大学、カートゥーン学科卒の経歴から分るように、 みうらゆうこは漫画というフォーマットを軸にはしているものの、 実は「漫画」と言う言い方すら曖昧な線上にあると言っていいでしょう。 なぜなら、彼女の作品はイラストレーションあるいは絵画としての領域と 漫画あるいはストーリーとしての性質を合わせ持ち、 作品自体が発するテイストと同様、 「何か」を強烈にアピールするタイプでは無いからです。

ではなぜ、この絵はこんなにも不思議な印象を残し、 まるで「わびさび」の世界のように淡々と、味わい深いのでしょう。

彼女の場合、「言葉」と絵が初めから共存すると「漫画」に、 「言葉」にできないと「絵」としての形になるそうです。 イメージとしての世界には説明的な言葉は必要ではなく、 作家の頭の中に浮かぶ印象としての「言葉」あるいは「ストーリー」により 微妙に作品の性格を分けていることになります。 そしてそれらの「言葉」の有る無しに関わらず、 そもそもビジュアルとしての世界観は縦にも横にも広がりを持ちながら 時間軸を飛び越え、「形跡」としての印象が残っているように思えます。 これらは今現在の出来事だけでなく、過去も未来も存在しうる、 極めてミニマルで普遍的なモノなのかも知れません。

職業的なイラストレーターでもなく、かといって物語性のある作家でも無く 徒然なる印象を綴る作家としての存在。 みうらゆうこの感性は、日本の古来からの「引き算」の表現に近いのでしょう。