「あったかさとつべたさのハンブンコ、でも、ぬるくない」 僕は絵を描く時、 この感覚だけをたよりに創作をする。 それは、僕にとって絵を描く時だけの事ではなくって、 音楽を創る時、人と接する時、生活の全てにおいて、 僕という人間を創りだしている感覚なのかもしれない。 それはまるで、自然の中に身をゆだねた時や、 涙が出るほど美しい風景に出逢った時の、 なんと言って表現したらいいかわからない、 神秘的な感覚に似ていると思う。
僕にとってのファンタジーの世界は、 抽象と具象の共存だと思う。 僕が絵に向かう時、 まず机の上に真っ白な紙と鉛筆をおいて、少しだけ目を閉じる。 そうして浮かんでくる極めて衝動的なイメージや感情の波を、 まるで抽象画を一気に描きあげるような感覚で描くと、 気付くとファンタジーの世界の具象として表現されているのだ。 なんだかややこしいけど、ヒラベッタク言うなら、 僕は絵を描く時はなぁんにも考えていないのである。 ただただ、日々を生きる自分に正直に筆を走らせるのだ。 それだけに、出来上がった絵を見た人に、 頭の中がファンタジー?って言われるけど、 それはズバリ当たっているのかもしれない。
誰の中にも不思議な世界は存在していると思うし、 それが頭の中か心の中か、ポケットの中か、人それぞれではあっても、 僕の絵を見て、その人の中の不思議の世界の住人が、 ひょっこりと顔を出してくれれば、僕はとっても嬉しい。
絵を描く時、僕は間違いなくファンタジーの世界の住人として、 見た事もない生き物と会話をして、見た事もない景色に感動している。 そしてそれは僕にはとっても心地の良いことなのだ。