neutron Gallery - 藤井和幸 展 『あの日の夏色』 - 
2004/9/6Mon - 12Sun 京都新京極 neutron 5F gallery

日常の素朴な光景、何気ない瞬間のハッとする空気やじんわりとした感覚を繊細で印象的なイラストと様々な手法を駆使することによって再現する。
音や光の要素も取り入れつつ、夏の終わりに感じさせるちょっと切ない展示。
イラスト・漫画に留まらない意欲的な展開に注目!




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gallery neutron 代表 石橋圭吾

藤井和幸は今回が初個展となる、京都精華大学在学中の学生です。 彼の今までの作品、制作等を見ているとイラストレーション及び漫画という 手法、イメージが最も適当な表現なのかも知れません。 しかし彼がそのような手法を用いたとしても、今回の個展は単に 「イラストレーション展」では終わらないでしょう。 なぜなら彼にとってそれらの手法は、自分が持つイメージを具現化する術の 一つに過ぎないのであって、例えば映画監督がそうであるように そもそも描きたい、見せたい風景や光景が有るのであって、 いかにそれを人に伝えることが出来るかにおいて、 彼は平面的なイラストや漫画はもちろん、それ以外の立体的・空間的要素まで あらゆる工夫を用いて再現しようと試みるのです。 もともとのイラストレーションにおいても情景の書き込みは絵画的であり その登場人物たるキャラクターはシンプルに「漫画」的な描き方をされて、 それらは敢えて年齢・性別を限定せず誰でもが感情移入できるように 極めて漠然とした存在であるのです。 若い作家であるにも関わらず日々の情感や生活の中のふとした情景に対する 観察力と洞察力は確かなものがあり、人間を描こうとする姿勢は この先の映像分野における展開も視野に入れている、という本人の言葉をもって とても期待できるように感じます。

今回の個展においては、絵だけで無く光、音などの要素を注入し さながら小さな舞台セットのごとく、楽しむことのできる空間になります。 そして「夏」というテーマにおいて、「あの日」と「今」を対比させ、 私たちに夏の終わりの一抹の寂しさと、爽やかな印象を残すことでしょう。