国吉 晶子 KUNIYOSHI AKIKO
【略歴】
1979 高知県生まれ
2001 女子美術大学芸術学部絵画科卒業
【主な個展】
2001 グラフィティ(高知)
2003 ギャラリーファウスト(高知)
2005 グラフィティ(高知)
1988 海の見える・ぎゃらりい(高知県立坂本龍馬記念館)
2008 海の見える・ぎゃらりい(高知県立坂本龍馬記念館)
【主なグループ展】
2003 5 ROOMS / 高知県立美術館(高知)
2004 THE EDGE / 高知県立美術館県民ギャラリー(高知)
2005 ジーンズファクトリー・コンテンポラリー・アートアワード2005 / 高知市文化プラザかるぽーと(高知)
2006 小倉りさ× 国吉晶子 / グラフィティ(高知)
2007 NO BORDER#3 / 高知県立美術館(高知)
2008 ゲンビどこでも企画公募 / 広島市現代美術館(広島)
【受賞】
2005 ジーンズファクトリー・コンテンポラリー・アートアワード2005:グランプリM 賞
2007 女子美術大学 大村文子基金:制作・研究奨励賞
【レジデンス】
2008 兵庫県立丹波の森公苑にアトリエアーティストとして滞在
「かわく森」
大学を卒業以来、出身地である高知県で油彩画の制作を続けている。比較的大きいサイズのキャンバスに、抽象的に事物を表現することを多くしてきた。地方都市では美術の情報や競争相手が少なく、現代美術における流行や、同年代の作家の発表するものに影響を受ける機会が少なかったように思う。独自のペースで制作を続けることができたが、やはり自身の作品と「現代の雰囲気」との間にズレを感じる。しかし、描くという行為は自分にとってなくてはならない表現手段だと考えおり、描き続けることで、それを長所と変えていこうとしている。
モチーフは植物や身の回りにあるもので、ない場合もある。自分の脳裏に自然発生的に浮かび上がってくる画像を描きおこしていく。下描きをしても、その通りにはほとんどならず、描きながら画面の上で変化していくことが多い。南国生まれの気質がそうするのか、暖色を好み、大きい筆やはけで勢いよく進めていく。
どんな事物を描いても、自分の作品の中ではそれらがより強く、よりポジティブに表現される。
今回の個展では「乾ききった植物や木々」をモチーフに作品を制作する。幼い頃に記憶している、自分の身の回りにあった緑よりも、今自分の周りに生息しているそれらは、明らかにみずみずしさが失われたように思う。枯れるわけではなく、どこか乾いた印象を持ちながら生え続ける草木を、独自のタッチで描きたい。また、これまでは完全な抽象化された画面であったが、具体的な線を描き加えることで、みる人にも対象物が分かるような、新しい挑戦となる描き方をしたい。デジタル技術が進化し、かかなくてもいいことが増えた昨今だが、あえて描くことで、それらをより鮮烈に伝えていきたい。
偶然にも昨年、兵庫県立丹波の森公苑で滞在制作する機会に恵まれ、森をテーマとした作品を制作した。短期間だったこともあり、作品が完成したという納得感が得られず、自分のアトリエに戻ってから、よりその情景を思い出すようになった。今回のneutronの個展では、そこで描いた作品を踏まえた上で、自身の最新作を発表したいと考えている。
国吉 晶子