neutron Gallery - 狗巻太朗 展 - 
2004/3/29Mon - 4/4Sun 京都新京極 neutron 5F gallery

若くしてアジア、アフリカ、ヨーロッパなど世界各地を旅して「顔」を描き続け る狗巻。今回は南米を廻って描き上げた新作展。「顔」を通して輪郭の線、皺、皮膚 の色、表情・・・など多様な人間の姿を提示し、いわゆる「似顔絵」としてではなく 「絵画」としてアプローチする。今回も会場にて絵を描きます!





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gallery neutron 代表 石橋圭吾

狗巻はまだ若干21歳の青年でありながら、
すでにアジア、アフリカ、ヨーロッパ、南米を旅して 画家としての自分、見知らぬ自分を模索している途上に居る。
若者が単身、危険を顧みずに辺境の地を旅する「自分探しの旅」と 言えなくも無いが、もっと狗巻の旅の理由ははっきりとしている。
彼は「顔」を描きたいのだ。
それも、出会った人の似顔絵を描く、というよりも 顔を描きたいと思う人を探すに近い。
彼は似顔絵描きになりたいのではなく、顔を描きたいのだ。
この何とも明解な動機のもと、狗巻はグイグイとクレヨンを塗り、真正面から顔を描く。
そこには無限の宇宙が広がっているかのごとく、 彼は迷い無く、画用紙に顔を描き続ける。
輪郭、皺、眼光、そして表情・・・。
初期の作品と比べて「顔」そのものがダイレクトに描かれ、背景は消去され、 物言わぬ主人公達は皆、画用紙の中で静かに、確かに存在するようになってきた。
繰り返すが、彼は似顔絵描きでは無い。
彼は彼の描きたい顔を描く。
そこには例え会話が無くても、濃密で緊張感の漂う関係が成り立つ。
狗巻の描いた顔の下に、描かれた本人がサインを入れる。
そして別れる。 顔は唯一の証拠として残り、私達がその目を通して狗巻を見る。
彼は恐ろしく真直ぐに、人物と向き合う。
だからこそこの絵は生まれる。
この先、一体どれくらいの顔を描くのだろうか。
そして狗巻はどれほど真直ぐで居られるだろうか。