neutron Gallery - 山村祐介 展 『ドウツミキ - 童積木 -』 - 
2004/5/17Mon - 30Sun 京都新京極 neutron 5F gallery


Artist , Works

【 作家、作品紹介 】

山村祐介展 ”ドウツミキ”- 童積木 -
  描くことは日常生活の中でとても身近に感じる存在です。ほぼ毎日のように作品と向かい合 い、ひと筆でも何かしらの筆跡を残すように心掛けています。具体的な何かを描くというより かは制作する過程の中でその日その時に感じる様々な気持ちや感覚からふとした瞬間に出てく る色や線、形などを同じひとつの画面に絵日記を綴っていくかのように日々の心情を目に見え る形として何層にも重ねて表現していきます。その見え隠れする色・形からまた新たな心情を 生み、そうして真っ白で何も描かれていない無表情な画面の中にもうひとつの自分の表情とし ての作品にその表情を作り上げていきます。そこには時として自分では意識しては創造しえな い表情が色や形で現われてきます。少なからずそこに新たな表現への可能性をを見い出すこと と、また少なからず自分(作品)を自分で客観視できるようにと思っています。客観視するこ とは自分の中のある一定方向の決めつけや思い込みを取り払い、時に様々な視点で自由気まま に新たな気持ちで前に進んで行けるようなそんな気がします。作品づくりにおいて、そのよう な自然な流れで表現することに、その理想に少しでも近づくことができればと思います。
  とは言え、やはり頭の中では様々な先入観や雑念など余計な意識が働いて、自分自身でさえ 描かれたモノ(表現)に対してその全てを受け入れる事が難しくも感じます。
  今回の展示では、というよりこれまでの活動の中でも常に意識してきたことではありますが、 興味を引くモノ思いつくままに感じて気持ちをぶつけて表現していた子供の頃を振り返ってみ て、例えば形作ってはその後すぐに何のためらいもなく崩してまた形作って遊んでいた積木の ように、何かを作ろう(表現しよう)とはしていてもそこには今のように先入観や雑念がある わけでもなく、ただ純粋なだけの本能的な部分で表現していたその頃の気持ち(感覚)という のを、現在の自分はどれほど持っているのだろうか?或いは残っているだろうか?もはやその ような事を意識しないでは作品づくりをしていない自分にとって子供だった頃を羨ましくも思 います。では意識しながらも現在の自分が作品の中でそれをどのように表現をしてどれだけ純 粋に作品と向かい合うことができるのか?作品づくり、及び作品展示の場を通じて常に自らも 傍観者として、作品からその時々の今の自分の気持ち(感覚)を再認識していくきっかけにし たいと考えます。結果としてそこに表現したいモノが見えて来る、来ないは別として、そこに 表現したもの全てを良くも悪くも受け入れることが次に繋がる、また作品づくりを続けていく 上での原動力になると考えます。