2001年以来、実に2年半ぶりとなるニュートロンでの個展。「ART MAP 2004」 に合わせて、5階で贈る爽やかで奥深い展示。自身の活動拠点を北海道移すため、し ばらく地元・京都では見納めかも知れません。子供の頃のように、純粋でありたいと 願う作家の、思いが重ねられて広がる透明な世界。
gallery neutron 代表 石橋圭吾
山村祐介は、ニュートロンに最も関わりの深い作家の一人であります。
2001年の個展を始め数々のグループ展への参加はもちろん、ギャラリースタッフとしての貢献度も極めて高いものがありました。
その彼は、今年の夏から生活と制作の拠点を北海道に移す事になり、地元・京都での発表はひとまずこれで区切り、となります。 折しも『KYOTO ART MAP』が開催中のこの期間に、 作家としてもスタッフとしても思い入れの有るこの5階ギャラリーで 個展を開催することは、感慨深いものがあります。
透明で奥行きのある世界。
そこには、実は何層にも描かれた無意識の世界のことがらが 重なりあって、溶け合って見えるのです。
作家自身が常々言う様に、子供の頃のように純粋に絵を描きたい。 また自分自身の純粋さを保っていたい。
そんな気持ちと、現実世界の様々な出来事が混じりあい、やはり大人として(一人の人間として)純粋でいるのは難しいことではあります。 でもそれを頑張って続けること。
自分自身の生き方として、あるいはライフワークとして、純粋で、透明であり続けようとすること。
山村祐介の作品は、その表れであると言えるのでしょう。
一見するとソフトで和やかなこれらの風景を生み出す時、それとは別の環境が身の回りにあったとしても不思議はありません。
「ユートピア」のような夢見がちな発想ではなく、信念をもって描き出す風景。そして気持ち。
皆さんも、どうかあらゆる雑念を取り払って、美術の意識も追いやって、童心に帰って眺めて頂きたいと思います。