【 作家、作品紹介 】
この展示は前展示「カシ展」の続編です。
昨年ワカメを仮死状態に喩えて展示したのですが、その生命力や形、色や薄さに素材としての魅力を感じ、ワカメという素材自体を掘り下げて、展示したいと考えました。それと同時に、この動機自体が前回の展示と関連していることもあり、前展示とのコラボレーションということも私にとってテーマになっています。
そのために、前回の写真作品をコラージュして展示します。ワカメをイメージして撮影したものの上に実物のワカメをコラージュすることで、モノクロとカラー、2次元と3次元を内存させ、1作品でワカメの様々な要素を味わえるようにしたいという意図があります。そしてそれは、状態の変化を表す時間のコラージュでもあります。
また、前回と同じ素材を扱うということでのコラボレーションの意味を込めて、今回はワカメをテーマに人物写真を撮影しています。前回は人の仮死状態をイメージさせるものとして、ワカメの写真を展示していたのですが、今回はその逆になります。髪の毛の、黒く、独特の質感やその水に浮かぶ様子は無意識な状態を感じさせ、そのイメージは死へすら繋がります。 1つの素材を掘り下げて展示することは私にとって初めての経験ですが、それは、前展示を逆から覗き込む感覚にも似ていました。
もともと仮死状態のイメージを持つワカメをテーマにして制作する事で、共通する独特の「影」のようなものを表現できればと思っています。