neutron Gallery - アサイヒロミ 展 『action』 - 
2004/10/25Mon - 31Sun 京都新京極 neutron 5F gallery

色を塗るのが大好き、から始まったイラストは印象的な構図と色彩で夢と現実の狭 間のような浮遊感と心地よさを与える。初めての個展となる今回は「動き」をテーマ に、空気やエネルギーの流れを感じさせる作品を発表予定。




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gallery neutron 代表 石橋圭吾

雑誌やポスターに使われても全く違和感のないお洒落なイラストの持つ雰囲気と、 だからこそ実は内に秘めている構図や色彩の妙味。 アサイヒロミの制作は未だ発展途上にあるとはいえ、不思議な印象を漂わせて 気になる存在である。

そもそもその制作スタイルは、一見さらりと描かれたような絵でも実は 自分流に納得する構図や配置を求めて、何度も塗り重ねられ、 さらには色やタッチをも描いている内に変化させ、辿り着くものだと言う。 そういう意味で、いわゆる絵画的、あるいは油画的とも言えるかもしれない。 また、絵を描こうとする根本の動機は「色を塗りたい」という、 切実な願望から来ているのだと言う。 画面に色を塗るために線を引き、その上に色で遊んでいく喜び。 だからこそ納得のいく効果や結果が得られるため、試行錯誤が為され、 一枚の絵としてのさらりとした印象、爽やかな色彩の奥に ぽってりとした厚み(印象としての)と様々な気配を感じとることができる。

アサイの作品は現在進行形でモチーフやスタイルを変えて、進化しているところである。 したがってリクエストがあっての仕事(イラストレーション)と自身の絵画との間に 今のところあまり距離は無いのかもしれないが、それでいてどちらの制作にも、 やはりアサイヒロミとしての匂いや特徴は確実に漂いつつある。 彼女自身が「影響されやすい、あるいはされたい」性格だと言うから、 今後も幅広い視野で物事を吸収することができれば、表現の幅はもっと広がるだろう。 だからこそ今現在において「これがアサイヒロミだ」と言い切れるものは、案外少ない。 強いて言うなら「曲線が好き」=「丸みがあると安心する」こと、 「スモーキーカラーが好き」なこど、くらいだろうか。 近作(今年1月の「エホンノミライ」出展)の言葉との組み合わせの絵では、 (いつもはシンプルなイメージから描くとサラリとした絵になるそうだが、) 文章に合わせることによって多層的・重層的な作風と感じられた。

今回の初個展でテーマとするのは「動き」。 スポーツや物の動きだけを表すのでなく、空気・音・エネルギーなどの振動、 バイブレーションとでも言うのだろうか、とてもポジティブなものになりそうだ。 もちろん、スポーツの秋、鑑賞の秋にもぴったりだろう。