neutron Gallery - 金 未来 展 - 『 第一章 〜 第三章 』
「 物語の幕開け (狭間に埋もれた心理の空洞) 」
2010/5/11 Tue - 23 Sun gallery neutron kyoto


profile
金 未来 KIM Mirei

【略歴】
1983 大阪生まれ
2007 京都造形芸術大学芸術学部美術工芸学科日本画コース 卒業

【活動履歴】
2004 「日本画六人展」(ギャラリーホワイトキューブKYOTO / 京都)
2005 「福知山市佐藤太清賞公募美術展」 日本画の部・入選(福知山市佐藤太清記念美術館 / 京都)
2006 石本正監修「次世代に伝えたい作家と作品展」(石正美術館 / 島根)
2007 「京都造形芸術大学卒業制作展」・学科賞(京都市美術館 / 京都)
2008 石本正監修「私を感動させた日本画展」(石正美術館 / 島根)※同時中国新聞作品掲載
2005 「水澄みの里美術展」(石正美術館 / 島根)(’09,‘ 10)
2005 石本正米寿記念「心で描いた日本画展」 全国巡回展(一畑百貨店 松江店 / 島根、浜松市美術館 / 静岡、京都造形芸術大学ギャルリ・オーブ / 京都、浜田市石正美術館 / 島根)
2005 「第4回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展」・入選(審査員推薦<三頭谷鷹史>)(豊橋市美術博物館 / 愛知)
2005 「羅針盤セレクション 様々な日本画vol.1」(アートスペース羅針盤 / 東京)
2009 個展(ギャラリー河原町 / 京都)



statement
 私は、人間が持つ心の中の内なる情に着目し作品を描いています。 それは、人が普遍的な日常の中で表面的に出る感情とは間逆の、それは暗鬱な心界、一瞬でパッションにもなり闇にもなる繊細な世界です。

 沢山の作家が表現を続ける中で私に出来ることはと考えた所、答えはそこにありました。私はエネルギッシュに作品にそのまま表現するタイプでもなく、ただ見た目美しい絵を描く器用な画家でもありません。しかし、その繊細で暗鬱な世界は、本当に表現出来る人と出来ない人がいること、それが私の中での強みになっています。人として・・と考える瞬間に、私の心情が暗鬱なパッションを作り出し、それが自然と私の制作意欲へと繋がるのです。

 絹本はそんな繊細な世界を表現するのに適した素材です。紙だとそこを表現しきるのは至難と言えます。紙には存在感や迫力の出しやすいと言うメリットとは逆に、繊細な感情の表現が生かしにくいと言うデメリットもあります。私はそこの紙に対するデメリットの部分を絹本で生かし、表現したいと思っています。そこはもうミクロンが沢山重なり合う様な繊細な世界です。そんな、色んな意味での繊細さ、人はその部分をどこまで表現しきれるのか?という極限の所まで私は行ってみたいのです。

 強いエネルギーを持つ世の社会では、中々その世界は認めてもらえなかったり、 気付いてもらえなかったり、理解してもらえなかったりもします。しかしその繊細な世界観はこれから時代が流れるにつれ、必ず必要になってくるはずと信じてガラスの様な心情を抱きながら、諸刃の剣でもある暗鬱の表現で繊細なエネルギーに満ちた、激しい世界を作り出したいと思っています。



◆長編作品全十章(第一章〜第三章)についての概要

私は30代を迎える前に20代の集大成と言える大作を残したい思いました。それは高さ190横130の作品を10作品完成させ、一挙に展示するというものです。
世には必ず光と闇が存在します。闇があるから、光に強さが宿り、光があるから闇にリアルを感じる事が出来ます。
二つのものが有るからこそ、世は成立します。そんな中で私が表現したいのは、オプティミストとペシミストが存在する中の狭間に見える心理、人によってその見え方も様々ですがその二つの物が一つのものとして交わり合う時、それは激しいエネルギーとして成り立ち、感動と言うものに形変わるだろうと私は信じています。生きるとは必ずしも真っすぐで美しい訳ではありません。そんな切実な世の中で、光に見える闇を、闇に見える光を私は表現したいのです。
私の作品がその様なものを与えられるかは定かではありませんが、今回は10作品制作していく中での完成している第一章〜第三章を展示させて頂きます。今回は始まりに過ぎないのでそれを頭に残し観賞して頂けたら少しは絵をリアルに感じて頂けるのではないかと思います。

金 未来