neutron Gallery - 衣川 泰典 展 - 『 みえないものにふれてみる 』
2010/7/6 Tue - 18 Sun gallery neutron kyoto


profile
衣川 泰典 KINUKAWA Yasunori

【略歴】
1978 京都生まれ
2002 京都精華大学芸術学部造形学科版画分野 卒業
2004 京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻版画分野 修了

【個展】
2002 「a floating sight」(PRINZ / 京都)
2003 「transparent space」(ノマルエディション / 大阪)
2004 「間にうかびあがるもの」(ギャラリーマロニエ / 京都)
2006 「ヨゾラノニジ」(gallery neutron / 京都)
2008 「ふれて / みる」(gallery neutron / 京都)
2002 「I touch as seeing」(ギャラリーAO / 神戸)
2009 「未知なものと既知なもの」(neutron tokyo / 東京)
2010 「視点のコレクション」(名芳洞blanc / 愛知)
2002 「みえないものにふれてみる」(neutron kyoto / 京都)
《予定》 10月 neutron tokyo / 東京

【主なグループ展など】
2001 「PRINT Exhibition 2001」(同時代ギャラリー / 京都)
2002 「本物らしい非現実」(ギャラリー千 / 大阪)
2002 「Mixture」(海岸通りギャラリ?CASO / 大阪)
2002 「NEWTRAL PACK- 次代の版画-」(名古屋芸術大学アート&デザインセンターギャラリーBE&be / 愛知)
2003 「WORK IN PROGRESS 2003」(GALLERY ARTISLONG / 京都)
2002 「ART CAMP IN CASO」(海岸通りギャラリーCASO / 大阪)
2004 「京都府美術工芸新鋭選抜展」(京都文化博物館 / 京都)
2002 「WORK IN PROGRESS 2004」(GALLERY ARTISLONG / 京都)
2002 「Jahesgaben」(ノマルエディション / 大阪)
2005 「錦市場でフィレンツェ・トスカーナを捜そう Vol.2」(錦市場商店街 / 京都)
2002 「市場」(mori yu gallery / 京都)
2002 「gallerism 2005 屋台的アート」(大阪府立現代美術センター / 大阪)
2006 「京都府美術工芸新鋭選抜展」(京都文化博物館 / 京都)
2002 「for myself ?自分用?」(gallery neutron / 京都)
2007 「二・五次元 - 絵画考 - 」(MARONIE / 京都、 wakoal ginza art space / 東京)
2002 「裏アートマップ」(京都芸術センター / 京都)
2002 「ふれてみる / なでてみる」(GALLERY RAKU / 京都)
2002 「かけらな夏」(gallery neutron / 京都)  
2002 「Shangri-La, Chandelier」(The Artcomplex Center of Tokyo / 東京)
2002 「エンディングデモ」(The Artcomplex Center of Tokyo / 東京)
2008 「現代作家立体小品展」(wakoal ginza art space / 東京、ギャラリーマロニエ / 京都)
2002 「ART OSAKA」 neutron より出品 (堂島ホテル / 大阪)
2009 「二・五次元 - 絵画考 - 」(MARONIE / 京都)
2002 「Image Print Project Show」(ギャラリー早蕨 / 愛知)
2002 「白昼夢 Daydream」(愛知県美術館ギャラリーH、I 室 / 愛知)
2002 「星に願いを」(neutron tokyo / 東京)
2010 「二・五次元 - 絵画考 - 」(ギャラリーマロニエ / 京都)
2002 「ふれて / みる」(中京大学C スクエア)

【その他の活動】
2007 ワークショップ「影にふれてみる」(GALLERY RAKU / 京都)
2008〜フリーペーパー“ ipp ”(image print project) に参加、不定期刊行
2009 ワークショップ「つかの間のわたし」(京都市美術館 / 京都)

【受賞】
2001 「あおもり版画トリエンナーレ」・青森放送賞
2002 「全国大学版画展」・買上賞

【パブリックコレクション】
青森市民美術展示館、 町田市立国際版画美術館、 京都精華大学



statement
“ みえないものにふれてみる”

 2007年から“ みえないものにふれてみる”というタイトルの大型作品の制作を継続しています。3mを超える作品は、今展で10作目になります。このシリーズでは「ふれて / みる」という言葉をもとに様々なイメージに触れ、イメージをみつめながら、スクラップブックのような絵画を制作しています。従来のスクラップブックのような本の形体と異なり、支持体となる紙に様々な印刷物やプライベートな写真を貼り、色彩が塗り重ねられ、イメージが描かれています。

 学生時代に出会った一冊のスクラップブックのおもしろさから、今の作品の展開があります。時代を越えた異国の匿名の人物のまなざしにふれることができたような体験をそのスクラップブックから感じたことから展開されています。作品タイトルにある「みえないもの」という言葉は先ほどに述べた「まなざし」のことを指しています。

 作品の中には、風景、女性、乗り物、動物、オブジェクト、世界遺産的な建造物や古美術など脈絡なく様様なイメージを画面に定着されています。貼られるイメージの大半は旅やドラマを感じるようなイメージを集めています。(たまには、あきらかに脱線もしています。)人の生活にまつわる衣食住に関するイメージも多いです。全ての様々なイメージ達を正確に「これはこういう意味で貼りました」という明解なコンセプトを提示している訳ではありませんが、人や旅、文化という言葉が当てはまるイメージを選んでいると言えるのかもしれません。



 今展の作品では高校生のイメージが中央に大きく描かれます。そのまわりには様々なイメージが浮遊しているように描かれています。今回は勤めている高校での学生にモデルになってもらい、高校生の日常の一部が描かれています。日常にある広告チラシや様々な印刷物、今という時間に存在するイメージを貪欲に描くことで、「つかの間」という時間を少しでも表現したいと思っています。

 スクラップブックのように様々に集められたイメージ達は、それぞれの鑑賞者の視覚を刺激し、人の記憶に触れながらも、現在という時間を共に生きる私達の世界をみつめる『まなざし』が作品に表出すればと思います。そして、これからも世界に満ちあふれる様々なイメージを貪欲的に静かに黙々と集めていこうと思っています。


2010年6月 衣川泰典