【 作家、作品紹介 】
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陳 維錚コメント
私の作品は常に同じ過程を経て作られてきました。
生活で直面する問題、悩みが重なれば、解放のために脱出の道を探り始めます。 友人の助言や本の一言がきっかけで問いかけ自体も考え方も変わることがあります。 問題の本質的な理解と解決が見込めるときに、考え方がだんだん一つのコンセプトにまとまってきます。そのコンセプトをもとに作られた作品を見た人々は私と意識の共有や共鳴ができます。
抱えているのが非常にプライベートな問題だし、解釈と解決法も私見にすぎませんが、似たような悩みを持つ人間同士にとっては有意義なのではないかと思います。 諸出来事によって人間不信に病む最近は、「人」の存在の不確かさについて考え続けています。 古い記憶を喚起してより確かな感覚にまとめるように我々は昔の記念写真を読み直しますがまるで目の前にいるように頭に浮かべる相手の姿は思い込みのイメージにすぎません。
気持ちを確かめるように男女は自然に体を触れ合うのですが、肉体以外に物質も我々に何かを語りかけているのだと思います。 今回は生活空間の中で生活感以上に語りかけてくる物質を真剣に見つめて物と会話する作業をしてみたいと思います。
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劉 珊コメント
イラスト、映像、ウェブデザインとインスタレーションを制作してきましたが、私はずっとアニメーションを描きたいと思っていました。 この展覧会を機に、念願の初アニメーションの制作になりますが、内容はこれまで一貫してきた「日常の感触」についてです。
ぼーとする一人の時間に、誰でも経験した空想やささいな出来事を形にできたらと思います。
タイトルの「あっ あふれた」は、まさに平凡な日常にあったりするトキメキそのものを垣間見る一言です。だらしなさ、緊張感、透明感や喜びがまじり、想像が満ちる液体のようなイメージなのです。
描いてるうちに、主人公の少女が昔から私の中に生きているかのように思えます。描き出すというより、彼女の呼吸、しぐさを見つめて、丹念に写し取っているような気がします。