【 作家、作品紹介 】
今回の作品はプレキシグラスと光によるインスタレーションで独自の場を生成します。それはドローイングによる空間であり、実体が「無い」のにそこに「在る」物を象徴します。しかし、実際に作品を見るとき、見る人は実は作品ではなく作品を通して自分自身を見ているのではないでしょうか。そのような場を作ることが作品の目的でもあります。
存在するもののすべては関係し、拡散してゆく。
小学生の頃、僕たちは未来を知る方法を持っていました。みんなが寝静まった真夜中、近くの公園に行き、小枝でハシゴを作ります。それを砂場の砂山に突き刺してから帰って寝るのです。運良くハシゴが倒れていなかったり、壊されていなければ、その夜の夢の中に小人がハシゴをつたってやってきて未来を教えてくれるのです。わたしは今そのハシゴ作りに夢中になっています。私の作品を体験してくれた人たちも夢で小人に出会えますように。
今回、「お正月」「初詣で」をテーマにした展覧会ということなので、私は一見おめでたい作品を制作する。 二曲一双の屏風で、紅白のまん幕をモチーフにする。まん幕の前にはそれぞれ松と桜を描く予定。紅白のまん幕に見えて実は松の後あたりが星条旗になっている。
まん幕も屏風もどちらもおめでたい雰囲気を高めるとともに、物を隠すという機能を持っている。「くさい物には蓋」ではないが物事を隠したり被ったりするのは日本文化の一つの特徴でもある。なんといっても「秘すれば花」の国である。
私の今回の作品は何かを隠すという機能を持った屏風に、描かれた内容でも何かが隠されているという、いわば二重の隠す構造を持った作品となる。