【 作品紹介2 】
「山を入れる」 2006.10
遠くの空にうっすらと、空と同化しそうな山が見える。
その青さに近づくと、そこには鬱蒼とした緑の森が広がっている。
たしかにその山は青かった。遠くの山が青く見えるのは、目と山の間にある分子大気によってレイリー拡散した光を見ているからである。そのことを承知した上でもなお、山が青く見えることは魅力的である。遠くにいると実体に触れることはできず、近づくにつれて、実体の色へと移行する。つまり、山の表面の色を見ているのではなく、対象へと透過していく色の重なりを見ているのである。言い換えるならば、対象の実体を見ているのではなく、ある距離によってしか見えない色によって、目と山の間にある中空を見ているのだろう。私は、遠心的に山へと近づき、連続した行為の狭間に齎される中空を、眼前に仮設し、山を観る。
「planter」
2006 / 陶 / 800×1,350×850mm
「仮説の山」
2006 / タイルに陶(6片) 90×90mm、 写真(6枚) 70×70mm
「Still Life」
2006 / 陶 / 2,700×2,700×800mm
「Still Life」
2006 / 陶 / 2,700×2,700×800mm