作品紹介1
個展 「異形の集団」展
きれいな顔はもう見飽きた。
いつのまにか世の中にはきれいな顔ばかりになってしまった。それは生き様と同じようなものだ。質はいいけど、均質でどれも同じような顔ばかりだ。かっこつ けたスマートな顔や生き方ばかりじゃなんだかおもしろくない。もっと自然でおもしろい顔や生き方がいっぱいあってもいい。
汚いと言われる顔はただ汚いだけじゃない。実はそんな顔のほうがおもしろくて強い魅力がある。少しおかしくて怖い顔には敬意をこめて異形( いぎょう) と呼びたい。そんな顔ばかりを片っ端から描くことによって、スマートできれいななにかに異議を唱えたかった。
展示形式は異形の顔を数十点壁に重ね合わせるようにして、むせ返るような熱さを表現する。作品一点は32×41c m の水彩紙に墨とアクリル、チョークなど使用して約112点描いた。制作方法は数点配置した紙に一気に墨で描いてゆき、乾いた後にチョークなどで締めてゆく。片っ端から描くので大量に描いていい作品だけを選んでゆく。そういったスピード感を殺さずに一気に描くことを心がけた。
核になる作品は三年以上前の作品だ。それに現在描いた作品を混在させた。紙はできるだけ反らせて、紙の性質を強調するように処理した。乱雑に貼り合わせた 手法だけじゃなく、紙の生命力も生かせるように暴れてもらうことにした。これは制作直前にソウルを旅したときの、混沌としたアジア的カオスに強い影響を受 けたからだ。
2007年10月2日