【 Red seal 】
2006年 / red seal
友人に版画の展覧会に誘われた。私は今まで版画の作品は作った事はなかったので、「版画の作品」ではなく、「版画に対しての作品」を出品するという事で了承した。
私は、実際に今回の版画展で使用されていたプライスシートを壁に貼り、“ 購入された”という意味合いを持つ「赤い丸いシール」を実際に購入された、されていないに関わらず、会期中延々と貼り続けていった。壁に貼り、床に貼り、最終的には他の出品者の版画作品に貼っていった。
私は版画という媒体に憧れの気持ちを持つ。 そして共に不安も感じている。
【 耳と口 】
2006年 / mixed media
この会場はもとはガレージで、その為か下水の配管が20c m ほど床から出ている状態で放置されていた。
私は、この配管に別に買ってきた配管をつなげてみた。それはまさに突如空間に現れた「耳」のように見えた。さらにこの展覧会の搬入の時、この配管の中に録音機を仕込んで搬入の時の音を約1 0 時間全て録音した。そして、会期の時はその録音した搬入時の音を配管の中から流した。今まで「耳」だったものが一変して「口」になった瞬間だった。
空間は常に状況を受け止めている。そして同時に発してもいる。
【 木村拓也 】
2008年 / Monitor,VHS tape
「木村拓也」がドラマでサングラスをかければ、それが流行する。「木村拓也」がドラマでバイクに乗れば、そのバイクが注目される。
「木村拓也」の出演する全てのドラマの「木村拓也」が出ているシーンだけをランダムに選び出し、それをVHSテープに重ね撮りしていく。
映像はVHSテープを重ね撮りする時に発生する特有のノイズの間に様々な役柄、状況の「木村拓也」が映し出される。
「木村拓也」は非常な不可解な「テレビメディア」そのものを代表する一例である。
【 風が吹けば… 】
2009年 / mixed media
「風が吹けば桶屋が儲かる」
1. 大風で土ぼこりが立つ
2. 土ぼこりが目に入って、盲人が増える
3. 盲人は三味線を買う(当時、三味線は盲人が弾いた)
4. 三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
5. ネコが減ればネズミが増える
6. ネズミは桶を囓る
7. 桶の需要が増え箱屋が儲かる
「風が吹けば桶屋が儲かる」とは日本のことわざで、あたかもバタフライ効果のように思わぬ所に思わぬ物事の影響が出ることの例えである。しかし現代では、その論証に用いられる例が突飛である故に、「あり得なくはない因果関係を無理矢理つなげて出来たトンデモ理論」も指すことも多い。(wikipedia より)
この1つの言葉でまったく間逆の2 つの意味を持つ言葉は非常に興味深い。この作品のメッセージはつまりはそういう事だ。
個々の物を繋ぐ赤と青の導線はその間の関係性を強引に作り出す。また、時計や導線から自然と思い浮かべる「爆弾」は「爆発・発生」を表す。
全ての現象や物は全て繋がっていてそこから常に何かが生まれる、、、い。や、生まれないかもしれない。